2014年4月8日火曜日

タタラという火山

明治になるまで、日本人は砂鉄から鉄製品を作っていた。
炭を使って砂鉄を溶かし、ケラとよばれる鉄の塊から 鋼や鋳物をより分け
刀や釘など様々な物に加工する。

私が使っている玉鋼の鉋も大原氏が千種川の砂鉄から作ったものだ。

砂鉄はタタラとよばれる溶鉱炉で溶かすのだが、
実際を見てみたい思いにかられ、大原氏に頼みこんで冬の数日タタラ作りに挑戦してみた。

氏は何もわかっていない我々に辛抱強く丁寧にタタラのイロハを教え、
作り方を指導し、形にした。
以下は作り上げ、燃えるタタラ。

地球の芯から浮かび上がり、マントルに混じって地表へ湧き出した鉄は
花こう岩の風化によって砂鉄となって人とかかわってきた。

炭を燃やし、風を送りこみ、タタラの底は白い炎となって真砂土の壁を溶かしてゆく。
この土も そう砂鉄を抱いて地上にふき出したその土なのだ。
上から注がれた砂鉄は 熔けながら下りてゆき、底部のオレンジ色のガラスに吸い込まれる。
重い鉄は下に集まり、空気を遮断した還元の炎の中で鉄として固まるのです。

 燃えあがるタタラを見て気付いた。これは火山だ。

 地球の核から噴き出した鉄を人は火山を作って元に戻し、
そこから必要な物を取り出すことを考えた。

 何と原始的で、力強い営みであろう。

 世界が火と土と風と水と空でできているなら、このすべてを駆使して、

 人は鉄という素晴らしくも禍々しいものを手に入れたのだ。