二年間池につけ、製材したものを
仕事場の二階に積み上げていた。
非常に質の良い黒柿で、いつかこの一本を使い、一つのものをつくろうと、
心つもりしていたのだが、思い切って鋸を入れた。
正倉院にも多くの例があるのだが、
奈良時代この“黒柿”は天皇が使う木として珍重された。
延喜式にも紫宸殿には黒柿の椅子(いし)清涼殿には紫檀の椅子とある。
つまり天子の椅子を最高の木で製作する。 ちょっとありません。
もちろんサンドペーパーなどは一切使わず、玉鋼の鉋仕上げ、
椋の葉 朴炭 ぬか袋のみ。 力を注いだ作品です。
作ったものが ある時、手を離れる事がある。
それは仕上がる途中での時もあるし、出来上がって艶が出て来た時に
そうなることもある。
不思議なのだが 良いものが出来上がる際にはそんな感じがする。
物が一人歩きを始める。自らのもくろみから離れ、どんどん変わっていく。
面白いよネ。
0 件のコメント:
コメントを投稿